◆フィラリア症予防について

 

 フィラリア(犬糸状虫)とは、そうめんのように細長い寄生虫のことです。ワンちゃん・ネコちゃんが蚊に刺されることで、フィラリアの幼虫は体内に入り、最終的には肺動脈や心臓の右心室で成虫となって寄生します。これによってワンちゃん・ネコちゃんは徐々に肺や心臓の機能低下に陥り、咳や運動不耐といった症状を示したり、最悪の場合には突然死することもあります。

 

 フィラリア症は予防が大切です。適切な予防を行うことで100%発症を予防することができます。フィラリア症の予防薬投与の推奨期間は、蚊が発生して1か月後から、蚊がいなくなって1か月後までとされています。足利市周辺では4月終わり頃から12月までが適切な予防期間(約8か月)で、この期間は毎月1回予防薬を飲ませる必要があります。投薬の間隔が1か月半以上空いてしまうと蚊に刺された場合、フィラリアに感染してしまう可能性があります。

 

 当院ではフィラリアの予防薬は飲み薬と注射(期間限定)をご用意しております。飲み薬は錠剤とおやつタイプのものがあり、どちらでも投薬しやすい方をお選びいただけます。注射は一回の接種で一年間(12か月)の予防効果があり、投薬が難しい場合や投薬のし忘れを防ぐのに便利です。

 

 また当院では基本的には毎年、フィラリアに感染していないことを血液検査で確認したうえで、予防薬を投与していただくことを推奨しています。フィラリアに感染している状態で、予防薬を投与するとワンちゃんがショック症状に陥ることが稀にあるからです。このようなことをご理解いただいたうえで飼い主様のご希望により毎年5月から12月まで投薬をしっかり行っている場合に限り、検査なしでも予防薬を処方しています。

 

◆混合ワクチン接種について

 

 当院では、ワンちゃん・ネコちゃんともに生後7週齢より混合ワクチンの接種を推奨しております。生後1年目は十分な免疫力を獲得するために、3週間もしくは1か月間隔で、2回もしくは3回のワクチン接種が推奨されています。2年目以降は1年に1回のワクチン接種が必要であると考えます。混合ワクチンを接種することで比較的遭遇することの多い重篤なウィルス感染症を予防することが可能です。たとえ外出させないワンちゃん・ネコちゃんであっても、万が一、逃げ出したり、人がどこかからウィルスを運んでくる危険性もゼロではありませんので、ワクチン接種は大切です。

 

 ワンちゃんについては5種および8種混合ワクチンを、ネコちゃんについては3種および5種混合ワクチン(その他にネコエイズワクチンもあります)をご用意しており、ご希望により選択することができます。

 ワクチン接種は異物を体内に注入することになりますので、ごく稀にアレルギー反応を起こす可能性があります。これはどんな健康なワンちゃん・ネコちゃんにも起こりうることですので、予防接種の際には万が一に備えて診察終了1時間前(17時)までのご来院をお願いしております。

 

 ※混合ワクチン接種時(狂犬病ワクチンは除く)にかぎり、爪切り・肛門腺絞り・簡単な耳掃除は無料で承っております。

 

◆狂犬病予防接種について

 

  ワンちゃんを飼っている全ての方は、毎年一回必ず狂犬病予防接種をすることが法律で定められています。世界各地で毎年、狂犬病ウィルスの感染により亡くなっている人がいるというのが現状です。しかし幸いにも、日本は現在、狂犬病の発生していない国、いわゆる狂犬病清浄国として認定されています。このような国は世界でもほんのわずかしか存在しません。このような安心と安全を維持すべく、飼い主のみなさまが狂犬病予防接種を行い、犬を放し飼いにしないことが重要であると考えます。

4~6月は狂犬病予防注射月間です。 みんなの安心・安全のため、狂犬病の予防接種をしましょう。